第371章 テレビを家に持ち帰る

「うちの物なんだから、私たちで分配する権利と考えがあるわ。あなたはそんなに口を出さないで」伊藤佳代は顔を曇らせた。斎藤昇はそんなにも言い続け、全て絵里子に向けられていた。

彼女は斎藤昇の叔母で、絵里子は斎藤昇の妹なのに、斎藤昇がこんなに身内を虐めるなんて。

いけない、姉に絵里子とよく接触させるだけでなく、斎藤昇にも絵里子と絆を深めさせなければ。斎藤昇の今の地位なら、絵里子を妹として認めれば、絵里子は何も心配することはないはずだ。

「斎藤昇、あなたは車で来たから便利でしょう。あなたも言ったように、叔父さんは事故に遭って、まだ体調が万全じゃないし、真冬の自転車も不便だわ。車で絵里子を迎えに行ってくれない?親戚一同で集まって、ゆっくり食事でもしましょう?」伊藤佳代はひらめいて、斎藤昇を上から下まで見つめた。