第372章 離婚しよう

「だめだ」

「なぜ?!」

橋本東祐は伊藤佳代を横目で見ながら言った:「絵里子はテレビを見るのが奈奈より好きだということを覚えているよ。奈奈は普段寮に住んでいて、このテレビは私が使っているんだ。奈奈が家に帰ってきても、本を読む時間の方が多いし、このテレビがあってもなくても奈奈は変わらない。でも絵里子は違う。絵里子は元々集中力が欠けていて、成績は奈奈には及ばない。このテレビを持って帰ったら、絵里子は家に帰る二日間、ずっとテレビばかり見ることになる。奈奈も絵里子も傷つけたくないんだ」

「それなら簡単よ。私が絵里子を管理して見せないようにするから、このテレビは私が見るわ」もし彼らの家にこんな大きなカラーテレビがあれば、面目が立つのに。

「あげない」橋本東祐は冷笑した:「結局、あなたは自分のことしか考えていない。言っておくが、この部屋の中にあるものは全て奈奈のものだ。テレビどころか、木切れ一つだって触らせない」