第375章 なぜ私に教えてくれなかったの

「私の言うことを聞くの?私が二人の離婚を許さないと言えば、明日民政局に行かないの?」橋本絵里子もひどく悩んでいた。どうしてこんなことになってしまったのか、本当に分からなかった。

「あなたが行くなと言えば、行かないわ」伊藤佳代は目を光らせて言った。「でも、お父さんが言うには、私が行かなければ、一銭ももらえないって。あなたはもう十八歳で成人したから、父親としての責任は果たし終えたって。私が行かなければ、これからは一銭も出さないって」

「じゃあ、お母さんはどう思ってるの?」橋本絵里子は座り込んで、大きなため息をついた。「お母さん、本当に、どうしてお父さんがお母さんと離婚しなければならないところまで来てしまったの?」

「私が引き起こしたことじゃないわ。明らかにお父さんが前から考えていたことよ」伊藤佳代は不満そうに言った。「お父さんが離婚を切り出すのも、今回が初めてじゃないわ」