第369章 黙れ(加筆)

「少しお話ししましょう。話せば気が楽になりますよ。お姉さん、いつも司令官夫人と中庭を出入りしているのを見かけますが、帰ってくることは本当に少ないですね。斎藤お兄さんはそんなに忙しいんですか?本当に忙しいなら、誰か手伝ってくれる人を見つければいいのに。斎藤お兄さんの側に身内の助けがあれば、きっともっと楽になるはずです。」

そうすれば、橋本さんにも復帰のチャンスがあるかもしれないし、自分も夫人になれる可能性があるかもしれない!

野村涼子は荒唐無稽な表情を浮かべた。数々の怪しげな人物を見てきた彼女には、伊藤佳代のこの言葉の真意がよく分かっていた。

伊藤佳代は見ず知らずの人に堂々と、コネを使って自分の夫を引き上げてくれと言っている。野村涼子は額に手を当て、だめだ、頭がますます痛くなってきた。