第385章 掌の表も裏も肉

橋本東祐は箸を取り上げ、まだ一口も食べていないうちに、橋本奈奈の方を見た。「奈奈……」

「お父さん、何か用事があるなら、食べ終わってから話して」

「そうだな」橋本東祐はため息をついた後、がつがつと一気に一杯の麺を平らげた。「奈奈、お前はお姉ちゃんと話が通じるだろう。聞いてみてくれないか?どうして大野宏がお姉ちゃんにあんなにたくさんのお金をあげて、面倒を見ているんだ。お姉ちゃんを説得してくれないか。人のお金は簡単にもらえるものじゃないんだ」

「お父さん、あなたもお姉ちゃんのお父さんでしょう。どうして自分で行かないの?私に行かせるの?小さい頃から、お姉ちゃんは私と真面目に話したことなんてないわ。説得するなら、お姉ちゃんは私の言うことより、お父さんの言うことを聞くはずよ」橋本奈奈は不満そうに言った。彼女はこの厄介な役回りを引き受けたくなかった。