第386章 そんなに厚かましくない

しばらくして、橋本奈奈はようやく落ち着いて自分の食事を済ませ、橋本東祐の分を鍋に入れて保温し続けた。「お父さん、ご飯は鍋に入れておいたから、お腹が空いたら食べてね。まだ温かいはずよ」

そう言い終えると、橋本奈奈は黙って身支度を整え、部屋に戻って宿題を続けた。

橋本東祐が意地を張って食事を取らないことに、橋本奈奈が心を痛めていないわけではない。実の父親なのだから。

しかし今回は、どんなに心が痛んでも、橋本奈奈は譲歩せず、最後まで貫き通すつもりだった。

前世では、伊藤佳代がまさにこのような手段で、何度も何度も橋本奈奈に妥協を強いていた。

違いは、橋本東祐は一人で黙々と不機嫌になるだけだが、伊藤佳代は延々と騒ぎ立て続けた。娘を産み育てるのがどれほど大変だったか、この家でどれほど苦労しているか。ただ娘に少し手伝いを頼んだだけなのに、橋本奈奈が嫌がる。いっそ死んでしまった方がましだ、といった具合に、うるさく騒ぎ立て続けた。