013 また恥ずかしながら心を奪われた

鐘見寧は彼の「賀川さん」という呼び方に顔を赤らめた。

賀川礼は去る前に、彼女にもう一言言った。「孤児院のことは、鈴木最上に任せておきます。」

鐘見寧は呆然とした。

まだ自分から彼にこの件について話していなかったのに。

その後、彼女は佐藤ママについて二階の寝室に入った。

別荘全体の内装は黒、白、グレーを基調としており、寝室も冷たく寂しい雰囲気で、見ていて特に重苦しく感じられた。まるで賀川礼という人物そのもののように、人に強い圧迫感を与えていた。

「洗面用具は全て揃っています。お着替えも用意させていただきましたが、サイズが合うかどうか分かりません。何かございましたら、いつでもおっしゃってください。」

鐘見寧は部屋の中で呆然と立ち尽くし、困惑の表情を浮かべていた。

一体どうしてこんな展開になってしまったのだろう?