043 デート?賀川さんは暇なようで(2更)

鐘見寧は呆気に取られた。この子の目は大丈夫なのだろうか?

鈴木最上は思わず「プッ」と笑ってしまい、賀川礼は眉を上げて彼を見た。「そんなに面白いか?」

「い、いえ、面白くありません」

「鐘見家に行くべきだな」

鐘見家の話が出て、鐘見寧も賀川礼を見上げた。彼は淡々と言った。「お前のドレスが汚されたんだ。賠償を求めに行くべきだ。お金がもらえるなら、もらわない手はない」

鈴木最上は行きたくなかったが、弁護士に任せようと思った矢先、賀川野が飛び出してきて、自分が行きたいと言い出した。

仕方なく、この若様に付き添うことになった。

普段はぼんやりしている賀川野だが、バカではない。彼も目的があって同行したのだ。助手席に座ると、さも何気なく尋ねた。「兄さんは義姉さんに一目惚れしたの?」

鈴木最上は抜け目がなく、すぐに意図を理解し、笑いながら頷いた。

「二人はどうやって出会ったの?」

「以前、パーティーで知り合ったんだ」

「義姉さんが婚約解消して間もない頃で、その時まだ婚約者がいたよね」

「うん」

「兄さんの片思いだったんだ」

「……」

賀川野は眉をひそめ、鈴木最上は内心ヒヤヒヤしていた。この若様は突飛な発想をする人だから、何か気づいたのではないかと思ったが、30秒後、彼は太ももを叩いて叫んだ。「さすが兄さんだ!人の恋人を横取りするなんてことまでやっちゃうなんて!」

鈴木最上は口角を引きつらせた。

これって……褒め言葉?

――

鐘見家

昨夜の出来事は青水市中に広まり、鐘見寧と鐘見家は完全に決裂し、鐘見肇夫妻の陰で行っていた汚い行為も白日の下に晒された。

最も重要なのは:賀川礼が現れて鐘見寧を支持したことだ。

一夜にして、鐘見家は業界で誰もが避けたがる存在となった。

一晩中、悪いニュースばかりだった。

この会社は取引を断り、あの会社は支払いを催促してきた。

鐘見会社は実力があったが、みんなで一斉に圧力をかけられては持ちこたえられない。鐘見肇は心配で髪の毛が一晩で白くなったほどで、一睡もできなかった。

支払いを求めに来た客を見送ったばかりのところに、賀川さんの秘書が来たという知らせが入った。