立秋を過ぎた夜、暑さが和らぎ、涼風が林を抜け、窓の外で木の葉が揺れる音が聞こえる中、鐘见寧の耳には轟音のような音が響いていた。
顔を両手で包まれ、彼女は強いられるように顔を上げて彼を見た。
近すぎた。彼の瞳の奥底に渦巻く暗い色が見えるほど近く、
その瞳には彼女だけが映っていた。
先ほどのキスが激しすぎたせいか、
深すぎたせいか、
熱が体中に急速に広がり、鐘见寧の目尻は赤く染まり、瞳は潤んでいた。指先は戸惑いながら、賀川礼の腰元の服をつかみ、しわを作っていた。
足は力が抜け、彼にもたれかかるしかなかった。
「寧ちゃん、呼び方を変えてみない?」彼の息が彼女に降りかかった。
熱く、灼けるような息が、
かすかに彼女の頬を撫で、さらに赤みを増させた。
鐘见寧は唇を噛んだ。先ほどの「あなた」という呼び方も状況に迫られてのことで、まだ慣れていなかった。口を開いて、「礼」と呼んだ。
「寧ちゃん、もう一度変えて。」彼の声はいつもの冷たさを失い、息は熱く、彼女を見つめながら、語尾に笑みを含ませた。
彼は美しかった。眉を下げた時、その瞳には人を魅了する熱が満ちていた。
今は二人きりだったが、鐘见寧は言葉が出なかった。腰を抱く力が徐々に強くなり、賀川礼の息が彼女の唇の端を撫で、耳元にキスをした。
「外に...誰かいるかもしれない。」彼の顎が彼女の首筋に触れ、息が真っ赤に染まった耳たぶを撫でた。
鐘见寧は体を硬くした。「まさか。」
賀川家の人々が、そんなことをするはずがない?
「ドアを開けて確認してみる?」
鐘见寧にそんな勇気はなかった。
もし本当に誰かいたら、どれほど恥ずかしいことか。
鐘见寧は意を決して、「あ...あなた。」と呼んだ。
彼女の声は小さく、柔らかで優しかった。
彼は顔を下げ、再び彼女にキスをした。
その勢いは先ほどよりも激しくなっていた。
指先が熱かった。
服越しでも、その熱で腰が柔らかくなるほどだった。鐘见寧は以前、人との過度な親密さを嫌っていたが、今は体中を電流が走るような感覚だった。
キスが終わった時、彼女の瞳は焦点が定まらず、うっとりとしていた。
「シャワーを浴びてくる。おとなしくしていてね。」賀川礼は彼女の額にキスをした。
慣れ親しんだ、親密な仕草で、
まるで最も愛し合う夫婦のように。