108 好きだよ、何千何万回も

空から急な雨が降り、雷鳴が轟く中、病院に着くと、道路は川のようになっていた。街灯の光が水面に映り、きらきらと波打っていた。鐘见寧は抱えられて車を降り、救急外来で医者を探し、病室で点滴を受けることになった。

「足が腫れていますね。消炎剤の点滴をもう一本打って、薬を服用し、できるだけ歩かないようにして安静にしてください」と医師は勧めた。

「何日くらい休養が必要ですか?」鐘见寧は大会前から足が酷く痛んでいた。

一曲踊り終えて、確かに無理をしていた。

「回復具合次第ですね。しばらく入院して様子を見ましょう」

「中秋節までには退院できますか?」

「帰省して過ごせるようになるでしょう」当直の女医は、ダンスコンテストの話題を知っていて、笑いながら言った。「長距離移動するなら、それまでにしっかり休養を取ってください」

鐘见寧は一瞬固まった。

賀川家は帝都にいるからだ。

看護師が点滴を取り付けると、鈴木最上と木村海は気を利かせて退室し、病室には彼女と賀川礼の二人だけが残された。

なんとなく気まずい雰囲気が漂っていた。

賀川礼は彼女のために水を注いでくれた。彼女は大会前にトイレに行くことが気になって、ずっと水を飲んでいなかった。

今、コップを手に取り、ごくごくと大きく数口飲んだ。

ちょうどそのとき、賀川野から突然ビデオ通話がかかってきた。画面を調整すると、向こう側には意外にも賀川大婆様がいて、彼女は笑顔で「おばあちゃん、こんにちは」と挨拶した。

「私は元気よ。あなたのメイク、とても綺麗ね」彼女の顔にはまだステージメイクが残っていた。「受賞したって聞いたわ。うちの寧は本当に素晴らしいわね」

「優勝できなくて残念です」

「十分素晴らしいわ」

二人が話している間、鐘见寧は賀川大爺様が賀川大婆様の後ろをゆっくりと杖をつきながら通り過ぎるのに気付いた。

そして、またゆっくりと戻ってきた。

まるで幽霊のように、あちこちふわふわと…

賀川大婆様はとうとう我慢できなくなり、振り向いて「何をしているの?」と尋ねた。

「夕食を食べたばかりだから、散歩して消化してるんだ」

「外に行って散歩しなさい!」

「外は秋の蚊が多くて、刺されると腫れるんだ」