101 愛を見せるなら、奥さんの言うことを聞かなきゃ

鐘見寧は指を急に引き締め、魚の餌を元の位置に戻した。餌を待っていた小魚たちは尾を振り続け、抗議の意を示した。「そんなことを言わないで」

「どうせ二人とも結婚して入籍したんだから、れっきとした夫婦じゃない。義兄を好きになるのはいいことじゃない」

相思相愛。

賀川礼は普段紳士ぶっているけど、藤田瑞贵を私的に懲らしめたことがあるらしい。

たった一度で、あのチンピラを完全に言いなりにしたという。

相当な手腕の持ち主なのは明らか。

きっと骨の髄まで狂っているのだろう。

もし彼が自分の姉が彼に気があることを知ったら、何が起こるか分からない。

鐘見寧は目を伏せ、「私たちの状況は複雑なの。あなたには分からないわ」

「じゃあ、話してよ。どれだけ複雑なのか聞かせて、ついでにアドバイスもするから」鐘見曜は腕を組んで、彼女の話を待った。