遠くの空の果てに、月が流れる雲の下に隠れ、淡い光を放っていた。
南方に台風があり、その影響で、天気予報によると青水市では近日中に雨が降るとのことだった。鈴木最上は車を運転しながら、渋滞の合間に後部座席の人を振り返って見た。
賀川礼は椅子の背もたれに寄りかかり、目を閉じて休んでいた。
「旦那様、会場まであと40分くらいかかりそうです。奥様の試合に間に合うかどうか…」
「彼女は何番目だ?」
「全部で30人ですが、まだ抽選が終わっていません」
木村海から連絡があれば、すぐに知らせてくれるはずだった。
賀川礼は最近数日分の仕事を圧縮して、少し過負荷気味で、機嫌も悪く、鈴木最上は毎日びくびくしていた。
社長の機嫌を損ねて中秋節のボーナスが飛んでしまうのではないかと心配だった。
**