周りが静かすぎて……
熱い口づけが、彼女の耳元を這うように移動する。
彼女の手は導かれるまま、彼の引き締まった腰に押し付けられ、鐘见寧は喉が詰まるような感覚と、激しく鼓動する心臓が胸を締め付けるような息苦しさを感じていた。
顔は紅潮し、体は熱く、
その感覚は本当に堪らなかった。
そんな時、彼は掠れた声で尋ねた:
「いいか?」
鐘见寧は恥ずかしさのあまり、声を出すことはできなかったが、手を引っ込めることもせず、暗黙の了解を与えた。
彼の声は嗄れ、息は流れる火のように熱く、顔を傾けて彼女にキスをした。
息が絡み合い、
体は更に密着し、まるで一体となったかのようだった。
……
時間の流れが極端に遅くなったように感じ、鐘见寧がベッドに横たわり、布団にくるまっている時、浴室から水音が聞こえてきた。彼女の頬は赤く染まっていた。
さっき手を洗って、ちゃんと拭いて、さらにさっぱりとしたハンドクリームまで塗ったのに。
手のひらはまだ蒸れるように熱かった。
あの感覚は、どうしても消えそうになかった。
特に彼が耳元に寄せた時の。
低くて磁性的な声は、それだけでも人を魅了するものだった。
そこに抑制と制御、そして興奮が混ざり合っていた。
彼女に密着しながら、彼女の名前を呼んでいた。
「寧ちゃん」という一言が、彼の口から別の味わいを帯びて出てきた。
鐘见寧はどれくらいの時間が経ったのか分からなかった。ただ彼の息遣いがより明確になり、熱い吐息が彼女の顔にかかる度に、まるで真夏の炎のように感じられ、全身が汗ばんでいた。
賀川礼が浴室から出てきた時、自分の奥さんが布団を頭まで被っているのを見つけた。
「そんな寝方で快適なの?」
「関係ないでしょ」
鐘见寧の声には、少し恨みがこもっていた。
最後の方で、もう無理だと思って手を引こうとした時に、彼にしっかりと押さえつけられたからだ。
賀川礼は髪を乾かした後、ベッドに入ると彼女を布団から引っ張り出し、抱きしめて頬にキスをした。これ以上は踏み込まなかった。
本当に怒らせてしまったら……
初めてが、最後になってしまうかもしれない。
「疲れた?」
鐘见寧は彼に背を向けたまま、全く相手にする気がなかった。
しかし賀川礼は腕に力を込めて彼女を抱きしめ、手を離そうとはしなかった。