お爺様は、末っ子と亡くなった義理の娘の仲が深かったことを知っていた。彼と心を通わせ、慰めの言葉をかけようと思っていたが、長年温めてきた感情が、彼の数言で台無しになってしまった。
出て行け、と。
この不肖の息子は普段言うことを聞かないくせに、今回はなんと素早く立ち去ってしまった!
我が家からどうしてこんな輩が出てくるのか!
「賀川洵——」お爺様は眉をひそめた。
「お父さん、もう遅いので、母に挨拶してきます。お父さんも部屋に戻って休んでください。」
「……」
一言で、お爺様の口を完全に封じてしまった。
確かに子供は皆平等に可愛いものだが、末っ子として、お婆様は特別に可愛がっていた。
お婆様は若い頃、苦労が多く、体を壊していたため、二人の息子を産んだ後は妊娠できなくなり、検査の結果でも妊娠は極めて難しいと言われた。これは医者の婉曲な言い方で、極めて難しいとは、ほぼ望みがないということだった。
しかし思いがけず三男を授かった。
当時は天からの恩寵だと感じ、さらに胎夢で、可愛い女の子が手を引いている夢を見た。
そこで夫婦で相談し、長男次男の意見も聞いた上で、産むことに決めた。
結果……
なんと男の子だった!
当時、賀川博堂と賀川知清はとても興奮していた。二人とも未婚で子供もいなかったので、やっと可愛い妹ができると思っていたのに、弟だと分かって二人とも萎えてしまった。
女の子が欲しかったわけではなく、ただ男の子は十分いたからだ。
でも生まれてしまったものは仕方がない!
岸許玲伊は性格が良く、幼い頃は彼女に育てられ、手のかからない子だった。成長するにつれて、その個性は言葉では言い表せないほどになり、賀川礼と二人で、本当に心配の種だった。
特に岸許玲伊が亡くなった後は、この二人の子供の心理に問題が出るのではないかと常に心配していた。
結果……
彼の方が心理的におかしくなりそうだった!
ある時など、賀川洵と些細な揉め事があった時、この子は家出までしてしまい、それだけでも大変なのに、賀川礼まで連れて行ってしまった。
家族総出で探し回り、大騒ぎになった。
見つかって連れ戻された時、お爺様は当然激怒した。「お前が出て行くのは勝手だが、なぜ礼まで連れて行った!」
「彼が一緒に行きたいと言ったからです。」
「……」