234 彼女の大切な人を狙う?

帰り道で、鐘见寧は手の中の念珠を弄びながら言った。「この黄花梨の念珠は上等な古材で、瘤疤紋もあるから、かなり高価なはずなのに、なぜ私にくれたのかしら」

「ずっと見つめていたから、気に入ったと思われたんでしょう」賀川礼は率直に答えた。

「そうだったかしら?」

彼は頷いた。賀川礼は湯川俊夫の隣に座っていたので、妻の一挙手一投足がよく見えていた。

「いつから念珠に興味を持つようになったの?」

鐘见寧は唇を噛んで、「念珠には興味ないの。ただ、この黄花梨を粉にして香を作ったら、いい香りがするんじゃないかなって思って」

「……」

運転していた鈴木最上は、驚きの表情を浮かべた。

こんな最高級の黄花梨は滅多に手に入らないのに、粉にしようだなんて?

湯川さんがこれを知ったら、きっと落ち込むだろう。