警察が到着した時、藤崎朗真は壁に寄りかかり、体から尿の臭いがして、警官は眉をひそめた。
鐘见寧は罠を仕掛け、更衣室には監視カメラが設置されていた。藤崎朗真は手を踏まれて骨折し、すぐに病院に搬送されたが、監視カメラの映像は今も鐘见寧の手元にあった!
藤崎家の者は彼が鐘见寧を怒らせたと聞いて、焦りまくっていた。
このバカ者!
しかし藤崎朗真は鐘見曜に手を出したことを一切認めなかった。
せいぜい鐘见寧への強姦未遂だけだと。
そしてそのために暴行を受け、手を折られた。
彼の両親は、すぐに鐘见寧に連絡を取った。
プライバシーの守られた茶室で会うことになった。
「鐘見さん、この件は息子が悪かったです。彼も既に代償を払いました。どうか今回は許してやってください」藤崎涛真には息子がこの一人しかおらず、息子に非があることを知りながらも、顔を下げて許しを請うしかなかった。
藤崎奥様に至っては鐘见寧の前で涙を流して泣いていた。
「あの事件の後、彼は既に廃人同然です。鐘見さん、どうか寛大な心でお許しください。この件は示談で解決させていただけませんでしょうか」
「ご安心ください、私たちが補償いたします」
藤崎涛真はそう言いながら、カードを取り出して鐘见寧の前に差し出した。
「藤崎さん、私はお金に困っているわけではありません」鐘见寧は眉を上げた。
このような両親がいつも後始末をしてくれるから、藤崎朗真はこんなにも図々しくなったのだ。
「このカードには2000万円が入っています」藤崎涛真は強調した。
鐘见寧はお茶を一口飲んで、何も言わなかった。
藤崎涛真はさらにもう一枚のカードを取り出し、「このカードにはさらに1000万円が入っています。示談に応じていただければ、何でも相談に乗ります」
「3000万円ね……」鐘见寧は小さく笑った。「彼を守るためにそこまでする価値があるの?」
藤崎夫婦にも他に方法がなかった。
やはり彼らの息子なのだ。
まさか本当に刑務所に入れるわけにはいかない!
これだけの金額を出すのは家財の半分を失うようなものだが、鐘见寧は賀川礼と付き合っているのだから、少ない金額では相手にもしないだろう。