263 忠犬子犬、従姉が罠に掛かった?(2更)

賀川礼は秋月策人を見て、目配せをした:

【彼女から目を離すな。末叔父の邪魔をさせるな。】

秋月策人は呆れた:

みんな自分を道具扱いしているのか?

どうせ甘い恋愛なんて自分には縁がない。

江口晗奈は彼を使って樱庭若様を避け。

今度は賀川家の末叔父の恋の邪魔をしろと?

話している間に、盛山庭川が自ら近づいてきて、賀川礼と鐘见寧を両親に会わせようと誘った。

外から見れば、ただの普通の会話だった。

賀川家はどこに行っても皆に取り入られる存在で、盛山誠章夫妻が特別な態度を取るのも当然だった。

しかし、こんな推測をする人もいた:

「まず盛山若社長が賀川家末叔父と和解し、今度は盛山誠章夫妻が賀川さん夫妻と親しく話している。賀川家を味方につけて権力争いをしようとしているのでは?」

「賀川家の助けがあれば、虎に翼を得たようなものだ。」

「盛山誠章夫妻は帝都を離れすぎていて、盛山漱花と湯川俊夫には敵わないと思っていた。湯川俊夫は今夜現れもしなかった。全く面子も立てない。もし賀川家が味方につけば、状況は全く変わってくる。」

「そうだね。賀川家と親しい岸許家、秋月家も…きっと盛山誠章を支持するだろう。そうなれば盛山漱花も打開策がなくなる。」

「打開策はある。」

「何?」

「賀川家には孫が多い。もし盛山心結が嫁げれば。」

……

盛山誠章夫妻はそこまで考えていなかった。ただ娘の足が回復していないことを心配し、疲れすぎないかと気にかけていた。

どんなに隠そうとしても。

湯川千秋は彼女を見つめ、その目に溢れる愛情は隠しきれなかった。

「母さん」盛山心結は母の側に寄り添った。

「あの人が話していた鐘见寧?」

盛山漱花は彼女を一瞥しただけで、じっと見ることはなかった。

「うん。」

「あの目、確かによく似てる。従兄が特別扱いするのも分かるわ。」

「それだけじゃないわ。おばさまも彼女を見る目が特別優しいの。」盛山心結は軽く鼻を鳴らした。「ただ目が似てるだけなのに、従姉はもうあんなに長く亡くなってるのに、おばさまはまだ忘れられないの?」

「母親になったことのない人には、この気持ちは分からないわ。」