おばあさんの右手の薬指には、シンプルな金の指輪がはめられていた。
デザインと摩耗具合から見て、かなり古いものだと分かった。
「この指輪が気に入ったの?」おばあさんが突然口を開いた。
鐘见寧は一瞬戸惑い、他人の持ち物をじっと見るのは失礼だと思い、照れ笑いを浮かべた。
「デザインが特別だなと思って」
「そうでしょうね。これは何十年も前のデザインだから、今じゃもう見かけないわ」
「古いデザインだと分かりますが、とても素敵です」
「これは私の結婚指輪よ。50年以上つけているの」
「おじいさまとの仲が良かったんですね」
「まあまあね」おばあさんは言いながら、彼女の薬指の指輪を見た。「今の指輪みたいに精巧で綺麗じゃないわ。あなたの指輪は素敵ね。見せてもらえるかしら?」
鐘见寧は頷いた。