272 地べたで大暴れ、恩知らずを育てた(2)

鐘見肇は昨夜帝都に到着し、やっとのことでタクシーで温泉山荘まで来たものの、鐘见寧に会えると期待していたが、警備員に門前で止められてしまった。今は媚びを売るように、片足を引きずりながら車の側まで歩み寄り、「ありがとうございます、本当にありがとうございます」と言った。

「どういたしまして。本当に賀川さんのお父様なんですか?」盛山心結は彼を観察した。

口元には笑みを浮かべながら、目には軽蔑の色が浮かんでいた。

「私は養父です」

「ここから山荘のホテルまでは、歩いて40~50分くらいかかりますよ。乗ってください、お送りします」と盛山心結は笑顔で言った。

「本当にありがとうございます。あなたは本当にいい方ですね」

鐘見肇は急いで車に乗り込んだ。

「すみませんが、私の娘をご存知ですか?」彼は恐る恐る尋ねた。