281 謝子犬:お茶を淹れるのが上手(2更)

盛山漱花は慌てて娘を引っ張って立ち上がった。「では、お邪魔いたしました」

「何を言っているんですか、お食事でもしていかれませんか?」と梁井佳音は笑いながら言った。

しかし賀川様がすでにそこまで言い切ったので、盛山漱花母娘はどんなに残りたくても、気が引けた。

「また今度にします。主人が家で待っていますので」と盛山漱花は笑顔で答えた。

「お送りします」と鐘见寧が立ち上がった。

「足が不自由なのに。私が送りましょう」と梁井佳音は直接鐘见寧に座るよう促した。

盛山漱花母娘はこのような屈辱を受けたことがなかったが、歯を食いしばって耐えるしかなかった。駐車場に向かう途中、今日来ていたのが江口晗奈と樱庭司真だと分かった。

お互いに知っていたので、会った時に礼儀正しく挨拶を交わしてから別れた。

「晗奈ちゃん——」老夫人が自ら出迎えに出てきた。

「おばあちゃん!こんな寒い日に、どうして外に?」

「会いたかったのよ。もう随分と会いに来てくれないじゃない」

「仕事が忙しくて」

「恋愛に忙しいんでしょう。彼氏ができたら、この老婆のことなんて忘れちゃうのね」

「何が老婆ですか。私の心の中では、おばあちゃんはいつまでも若いです」と江口晗奈は老夫人の腕を取りながら、樱庭司真にも付いてくるよう合図した。

「姉さん、付き合い始めたんだから、お祝いの食事くらいするべきじゃない?」賀川野が飛び出してきた。

「食べることばかり考えて」

「現金で祝儀でもいいよ」

「そんなにお金に困ってるの?」

「家族の中で僕が一番貧乏だよ」

「……」

一行は笑いながら長廊下を通り、室内に入った。

盛山漱花母娘は車の中で、この光景をじっと見つめていた。

「お母さん、賀川家の人たちはひどすぎます。特にあの賀川野!」盛山心結は腹立たしげに重たい宝石のイヤリングを外した。

「あなたこそ言う資格ないでしょう。あなたが愚かなことをして、あんな事態を引き起こさなければ、賀川家はどんなことがあってもこんな態度は取らなかったはず」

「私が悪かったとしても、私の顔を立てないにしても、お母さんと盛山家の顔くらい立ててくれてもいいはずです」

「賀川家がどんな家か分かっているの?誰の顔も立てたことなんてないわ」