宴会場内
「盛山家お嬢様」に何かあったかもしれないと聞いて、多くの人が様子を見に行きたがったものの、遠慮していた。しかし、秋月策人と賀川野はそれを聞くや否や、一目散に走り出した。
一分一秒も見逃すまいと。
「野!」賀川礼は眉をひそめた。
賀川野は口も拭わずに走り去った。
そして、弟を追いかけた賀川礼も行き、賀川家の他の者たちも次々と向かった。
江口晗奈もこの面白い展開を見逃すまいと、樱庭司真の手を引いて後ろ側へ向かった。
皆は賀川家も秋月家も行ったのを見て、自分たちも急いで見物に行った。
その時、盛山漱花は既に部屋の前に人を連れて来ており、ドアをノックした。「美鈴!」
部屋の中から反応がない。
ドアは内側から鍵がかかっており、開かない。
「盛山お嬢様に何かあったんじゃないでしょうか」誰かが心配そうに言った。「ドアを破って入りましょうか?」
「さっき中から助けを求める声が聞こえたのに、今は何の音もしない。本当に何かあったのかもしれません」
「でも……」盛山漱花は躊躇した。「もし着替え中だったら、こんなに大勢で入るのは不適切です。兄と義姉が来るまで待ちましょう」
「今はそんなことを言っている場合じゃありません。もし中で気を失っていたらどうするんですか!」
盛山漱花は歯を食いしばった。
「分かりました、破りましょう!」
ホテルのドアは品質が良く、何度蹴っても びくともしなかった。
「どいてください、私がやります!」賀川凌介が現れた。
彼はアスリート出身で、体格も良かった。一蹴りで、「ドン!」という音とともに。
鍵が歪み、ドアが後ろの壁に当たった。
轟音が響き渡った。
盛山漱花が真っ先に飛び込んだ。
そして、その場に立ち尽くし、思わず声を上げた。「庭川?なぜここに?しかも服装が乱れて!」
皆は最初、「盛山お嬢様」が着替え中で、服装が乱れているかもしれないと考えて、入るのを躊躇っていた。名誉に関わると思ったからだ。
しかし……
服装が乱れていたのは、なんと盛山若社長だった!
大胆な記者が飛び込み、続いて皆も次々と入っていった。
この休憩室は三LDKで、リビングルームと寝室があり、とても広々としていて、数十人は十分収容できた。