鐘见寧は涙が出るほど笑って、これを見ると、この偽物はあまり賢くないことが分かった。
盛山漱花は病気で焦って藁にもすがる思いだったのか、この人のことをよく知らないようだった。
盛山家お嬢様として素直に生きればいいものを、わざわざ疑われるようなことをするなんて。
「まだ笑うの?」
「もう笑いません。ただお兄様の魅力が凄いなと思って」鐘见寧はどうしても我慢できず、また笑い出してしまい、盛山庭川の顔が曇った。彼女が長い時間かけて機嫌を取ってようやく表情が和らいだ。
「お兄様、気になるんですけど、どんな女の子がタイプなんですか?」
「私にも分からない」
盛山庭川は誰かに心を動かされたことがなく、具体的な基準もなかった。
「とても綺麗なお客様がいるんですけど、残念ながら結婚相談所じゃないし、あまり親しくないから...でなければ...絶対にお兄様に紹介したいのに」
盛山庭川は微笑むだけで、「本当にいい人がいるなら、むしろ叔父さんに紹介したら?」
「叔父は好きな人がいるんです」
「でもその女性は叔父さんのことを好きとは限らないよ」
「...」
鐘见寧は深いため息をついた。二人は本当に相性が悪いんだな。
そこまで毒舌である必要があるの?
叔父の幸せを望んでいないってことじゃない。
「そういえば、この件をどう処理するつもりですか?」
「君は気にしなくていい。ただ見ていればいい」
またこの言葉だ。
盛山庭川は一切明かそうとせず、鐘见寧も彼の口を開かせることはできなかった。
——
彼女のオフィスを出た後、盛山庭川は真鍋美鈴を連れて出て行き、盛山心結を置いていったので、彼女は怒り狂った。
従兄がなんてことを!
「お兄様、従姉を置いていくのは良くないんじゃ...」真鍋美鈴は彼の隣に座り、ずっと横目で彼を観察していた。
「彼女は私の実の妹じゃない。何も問題ない。何が食べたい?」
「何でも構いません」
「じゃあ私が決めよう」
盛山庭川はレストランを貸し切り、二人だけの食事で、シャンパンとワイン、ピアノの生演奏まであった。真鍋美鈴はこんな待遇を受けたことがなく、目の前の男性を見上げると、顔がより一層赤くなった。
優雅で気品のある姿で、自分に特別な愛情を示してくれる。バカじゃなければ心動かされないはずがない。