町田克純は続けて言った。「私は既に退職願を出しました。結婚の際に頂いた株式も、全て庭川に譲渡しました」
「町田克純!」盛山漱花は呆然とした。「あなた、狂ったの?何をしているの?」
「この数年間、盛山家から頂いたものは、全てお返しします」
「株を盛山庭川に渡すなんて、頭がおかしくなったんじゃないの!」
盛山漱花は歯ぎしりをしながら言った。「盛世の株を持ちたくないなら、せめて私たちの娘にあげるべきでしょう。他人に渡すなんて、どういうことよ!」
「そうよ、お父さん?」盛山心結も困惑した表情を浮かべた。
「こんなことをするなら、せめて私たちと相談してくれてもよかったのに。誰かに脅されているの?」
町田克純は穏やかな笑みを浮かべた。「他人?庭川は私が見て育てた息子同然だ。つまり、あなたの中で、彼はずっと他人だったということか?」