夕日が西に沈み、空は霞んでいた。
湯川俊夫が先ほど設置した撮影機材を片付けていると、賀川野が急いで手伝いに行き、木村海も傍らで他の物を整理していた。彼は菅野望月を見て、見知らぬ人だったため眉をひそめた。
「おじさん、この方は兄の後輩で、インテリアデザイナーの菅野望月さんです」と盛山文音が紹介した。
「湯川さん、お名前は存じ上げております」
菅野望月は率先して手を差し出した。
湯川俊夫はデザイナーではないが、業界では有名だった。
なぜなら……
性格が十分に悪いからだ!
「こんにちは」湯川俊夫は甥の後輩と聞いて、丁寧に応じた。
彼は盛山文音を見て、「今晩、盛山家で一緒に食事でもどうかな?」と言った。
「いいえ、おじいちゃんとおばあちゃんと約束してるので、今晩は一緒に食事をするんです」盛山文音は菅野望月の方を向いて、「一緒に行きましょう」と言った。