343 義理の叔父:ファーストキス、この件は許せない

病院内

皆が帰った後、菅野望月はしばらくスマホを見ていたが、充電器を持ってきていないことに気づいた。ナースステーションに行ってコンセントを借りようと思い、布団をめくると、スリッパすらないことに気がついた。

彼女がため息をつくと、ノックの音が聞こえた。

「どうぞ」

江口晗奈が頼んだ看護師が来たのだと思った。

腕に縫合をしただけで、自分で動けないわけでもないのに、看護師なんて必要ないのに。ただ先輩に夜通し付き添われたくなかっただけなのに。

どうせ看護師が来たなら、何か買い物を頼もうかと思った。

ドアが開く音とともに、菅野望月が顔を上げると、見覚えのある姿が...

「な、なんで、あなたが?」

賀川洵は買い物袋を手に持っていた。

そのまま病室に入ってきた。

「私を見て、緊張してる?」賀川洵は無関心そうに尋ねながら、買い物袋から薄い青のスリッパを取り出して彼女の足元に置いた。