賀川洵は手にしたペンを握りしめ、完成した設計図を修正し磨き上げた。菅野望月は宝物を手に入れたかのように細かく眺めていた。彼女は途中から始めたため、賀川洵ほど基礎が固まっていなかったからだ。
このデザインを依頼主に渡すのが少し惜しい気がした。
賀川洵の心の中では別の思いが巡っていた。
自分のこのアシスタントは……
彼がまだスタジオを設立する前から、彼の作品を非常に好んでいた。後に従業員として応募し、能力を見極めた後、彼によってアシスタントに抜擢された。
彼について、約十年。
この間、勤勉で真面目に働き、すべてにおいて彼を優先し、賀川洵も彼を重用していた。
普段は全ての心思をデザインに注ぎ、スタジオや依頼主との対応など多くの事務は、すべてアシスタントが処理し、それも整然と行われていた。