盛山庭川は眉をひそめ、「秋月のやつ、どうしたんだ?いつから月ちゃんのことを好きになったんだ?」
賀川洵は黙っていた。
その時、秋月策人はバラの花束を抱えて、春風のように微笑んでいたが、菅野望月の次の言葉で、まるで冷水を浴びせられたかのようになった。「ご厚意は嬉しいですが、申し訳ありません。この花は受け取れません」
「なぜですか?あなたは独身じゃないですか?」
「あなたのことが好きじゃないからです」
「……」
秋月策人は呆然とした。
「僕のことを知りもしないのに、どうして好きじゃないってわかるんですか?」
「あなたは私の好みのタイプじゃないからです」
「どんなタイプが好みなんですか?」
「才能のある人です」
その言葉に秋月策人は一瞬固まった。
才能?
なぜか菅野お嬢さんが遠回しに自分のことを馬鹿にしているような気がした。