353 色欲に駆られて?横取りに来た?

賀川家旧邸

賀川礼は既に妻と帰宅し、大人の楽しみをしようとしていた矢先、シャワーを浴びたところで携帯が震え、末叔父からの電話だった。「末叔父?」

「まだ起きているのか?」

なんという無駄な質問だろう。

寝ていたら電話に出られるはずがない。

「ワインセラーに来い。話がある」

真面目な話をするならそんな場所ではないはずだが、賀川礼は盛山文音の額にキスをして言った。「眠くなったら先に寝ていいよ。末叔父と少し話があるから」

案の定、末叔父は今夜の菅野望月のことを聞きたがっていた。

「気になるなら、直接彼女に聞けばいいじゃないですか」

「あの子は恥ずかしがり屋だから、話してくれないだろう」

「……」

まるで自分が厚かましいみたいな言い方だ。賀川洵は秋月策人が菅野望月の連絡先を聞いたと知った瞬間、顔を曇らせ、賀川礼を見つめた。「お前の友達を見てみろ」