賀川洵は黙っていたが、賀川礼が先に口を開いた。「林助手、この件は確実なのか?」
「不確実なことは申し上げません」林昊洋は賀川洵に10年近く仕えており、仕事は慎重だった。「ご存知の通り、賀川さんの新居のデザインを彼女に任せましたが、彼女は確かに……」
「彼女は以前、私たちの事務所で研修助手をしていた」
「賀川先生が彼女を引き入れたのに、まさかこんなことをするとは」
賀川洵の表情からは、一切の感情の動きを窺い知ることができなかった。
林昊洋は調べた資料を賀川洵に渡した。
彼は受け取らなかったが、賀川礼が受け取って数回目を通した。
作品の比較図があった。
素人の彼には、あまり類似点は見出せなかった。
しかし、赤ペンで特に丸で囲まれた構図の位置には、確かに似ている部分があった。