紫金の杯建築デザインコンテストと審査は、七時に定刻通り始まった。
司会者のウォーミングアップの後、建築協会の会長が二十分以上にわたる挨拶を行い、秋月策人は何度もあくびをしていた。この季節は、暖かい風が吹いて、眠くなるような心地よさだった。
横目で隣の賀川野を見ると、眉をひそめていた……
こいつ、なんとスマホで問題を解いているじゃないか。
「前はこんなに勉強熱心だとは気付かなかったけど?」
「元旦明けに期末試験があるから、時間がないんだ」
「前の学期、落第したの?」
「してないよ!僕を君と同じだと思わないでよ。君は学生時代によく落第したって聞いたけど」
「……」
秋月策人は軽く鼻を鳴らし、勉強に興味がなかっただけだと、またあくびをして、「そういえば、試験勉強中なのに、なぜここに来たの?賀川小野、正直に言いなさい、私の知らないことがあるんじゃないの?」
こいつは人が集まるところが好きだ。
理由もなく現れるはずがない。
「当ててみて」賀川野は意地悪そうに笑った。
「二百円あげる」
賀川小野の顔が曇った。
二百円?物乞いにでも言うのか。
「二百五十円?」
お前こそ二百五十だ!
賀川小野は眉をひそめた:「兄さん、会社が倒産しそうなの?」
今度は秋月策人の顔が曇った。
そしてちょうどその時、挨拶が終わり、一つの演目の後、順次コンテストの順位発表が始まった。サスペンス感を出すため、順位が高いほど発表は遅くなる。菅野望月は作品を出展していないため、この時は師匠にどう説明しようかと頭がいっぱいだった。
ふと横目で見ると、隣の二宮一鳴の表情が特に真剣だった。
「二宮兄、緊張しないで。賀川先生もあなたの今回のデザインを褒めていたから、受賞の可能性は高いはずよ」
二宮一鳴は苦笑いを浮かべた。
賀川洵が直接出席するとは思わなかった。
恐れ、不安、落ち着かない気持ち。
「同僚たちがグループで言ってたわ。もしコンテストに勝って賞金をもらったら、みんなを食事に誘うのを忘れないでねって」菅野望月はスマホを見ながら言った。仕事仲間として、みんな二宮一鳴が賞を取ることを願っていた。
二宮一鳴は表情を硬くして:「もちろんです」
彼は緊張して唾を飲み込んだ。「菅野さん、賀川先生から何か嫌がらせされたことある?」
「え?」