366 敵陣に潜入して、自分を売り込んでしまった

賀川洵は気になることが多かった。

「以前、業界であなたが妻を追いかけて火葬場だったという噂がありましたが、その人は本当に月ちゃんですか?」

賀川洵は頷いた。

「私の観察では、あなたたち二人の間には火葬場と呼ばれるような出来事は起きていないはずですが、なぜ外部ではそのように噂されているのでしょうか?」通常、一方が相手に冷たい態度を取り、後で後悔して必死に機嫌を取ろうとする時にこの言葉が使われる。

しかし、二人の状況は少し違うようだ。

賀川洵は低く笑って:「私にもよく分かりません」

盛山庭川は息を吐いて、「おそらく、あなたが業界での評判が悪すぎるから、みんな当然のようにあなたに非があると思っているんでしょう」

「……」

この言葉に賀川洵は反論できなかった。

盛山庭川は菅野望月の先輩に過ぎず、彼女が賀川洵との関係を隠していたことに不満はあったものの、結局厳しい言葉は言わなかった。ただ、心の中にもやもやが残り、胸に何かが詰まっているような感じがした。

息苦しいほどに。

特に賀川洵と別れる時、また呼び止められた:「今夜のことですが、まさかあなたが自ら私を助けてくれるとは思いませんでした。ありがとうございます」

盛山庭川は二宮一鳴の盗作を見抜いたので、当然公正に発言しなければならなかった。

もし賀川洵が既に知っていて、準備していたことを知っていたら、自分は決して出しゃばらなかっただろう。

「賀川先生、どういたしまして」彼は歯を食いしばって言った。

彼は突然また一つのことを思い出した:「あなたは先ほど、月ちゃんを追いかけていると言いましたが、つまり、まだ付き合っていないということですね」

この言葉は、心に刺さった。

賀川洵が黙っているのを見て、盛山庭川は口角を上げ、心の中で喜んだ。

**

一方

菅野望月は心配で、先輩と賀川洵が何を話しているのか分からなかった。三十代の大人なのだから、まさか喧嘩になることはないだろうが、約30分後、二人は戻ってきた。

彼女が想像していたのと違い、先輩は機嫌が良さそうだった。

彼は自分の妹を冷たく見た。

盛山文音は頭を下げて知らんふりをした。

しかし賀川礼は、避けようがなく、視線が彼と正面からぶつかった。

その目は明らかにこう言っていた:

お前は本当に素晴らしい義理の弟だな!

よくやった!