381 盛山若社長が助けに?手を汚すのも厭わない

盛山文音は花束が別の女の子の腕の中に落ちるのを見て、やっと彼女に気づいた。

前に盛世で会った女の子じゃないか?

どうして従姉妹と同じ席に座っているの?

それに……

会場の雰囲気がどこか変だった。本来なら花束を渡した後、盛山文音は祝福の言葉を贈り、花束を受け取った人が早く良い人に巡り会えますように、この幸せが続きますようにと願うはずだった。

司会者がマイクを差し出したところで、賀川礼は彼女の手を取り、司会者に儀式の終了を示した。

盛山文音は困惑したものの、何も言わずに彼に手を引かれて控室へ向かい、お色直しの準備をした。

「昨夜、ホテルで少しトラブルがあってね」と賀川礼は言った。

「従姉妹から少し聞きました」

「さっき花束を受け取ったのが松本長女様だよ」

盛山文音はハッとした:

まさか彼女だったとは。

恋人と妹に裏切られたばかりの彼女に、早く結婚できますようにと祝福するのは、また噂の種になりかねない。

お酒を回り終えると、賀川礼は湯川俊夫に片隅に引っ張られ、低い声で警告された。「お前、私の姪っ子を苦しめるなよ。さもないと、許さんぞ」

「分かっています」

盛山文音は助け舟を出そうと思ったが、町田克純と出くわしてしまった。彼女は笑顔で「おじさま」と呼びかけた。

「今日はとても綺麗だね」

おそらく人々の噂を避けるため、彼は儀式が始まってから入場したのだろう。

「ありがとうございます」

「これは結婚祝いだよ」町田克純は美しく包装された箱を彼女に渡した。「賀川礼との末永い幸せを祈っているよ」

盛山文音はお礼を言って受け取り、さらに少し世間話をしてから、他のお客様の接待に向かった。

町田克純は彼女の後ろ姿を長い間見つめていた。

宴会場では、杯を交わし、笑い声が響き、賑やかな雰囲気に包まれていた。

彼は長居せず、盛山家の双老に挨拶を済ませると病院へ向かった。

盛山漱花はベッドに横たわり、彼が持ってきた引き出物の箱を見て、冷ややかに言った。「誰の結婚式?」

「今日は、盛山文音と賀川礼の結婚式だ」

「盛山……文音?」

盛山漱花はその名前を聞いて、しばらく呆然としていた。

ついに、それぞれの場所に収まったのね。