デザイナーとしての彼女の美的センスから見ると、
この娘は顔立ちが整っていて、プロポーションも非常に良かった。
月白のニットワンピースを着て、腕にダウンコートとマフラーを掛け、細い腰がくびれていた。彼女の目は赤く腫れているようで、化粧で隠そうとしていたが、目の下の充血は隠しきれず、ナチュラルメイクが染み出て、よく見ると……
どこもかしこも優美で繊細だった。
ただ、美しすぎて生気がなく、陶器の人形のようだった。
両親の後ろについて、賀川博堂夫妻に挨拶をする時、その柔らかすぎる顔は、笑顔さえも淡く、攻撃性は全くないのに、驚くほど美しかった。
彼女と比べると、隣にいる松本次女様は派手なメイクをしていた。
とても傲慢な様子!
「本当に恥知らず。姉の婚約者を奪っておいて、まだ偉そうにしている。よく顔出せるわね」周りの人々は陰口を叩いていた。
「松本長女様が可哀想」
「強がっているだけでしょう。目が赤いのを見ると、家でさんざん泣いたんでしょうね」
「この松本次女様よくここに来れたわね」
……
背中を指さされても、ある人は気にしていなかった。
耳障りな話かもしれないが、ここにいる令夫人たちだって、のし上がるために手段を使わなかった人なんていない。
この界隈で生き残るには、厚かましさが必要!
金子家に嫁げて、金子家若奥様になれれば、誰も過程なんて気にしない!
愛されない人こそ、第三者なのよ!
彼女は冷ややかに自分の姉を一瞥し、仲間たちの方へ向かって話しかけた。
ただ、この松本長女様は知り合いが少ないようで、松本夫婦が知人と話しに行ってしまったため、その場に立ち尽くし、どこに座ればいいのか分からず、少し緊張して気まずそうだった。
江口晗奈は正義感の強い人で、父親の影響で不倫を特に憎んでいたため、少し離れた所に座っている賀川野を見て、指で合図した。
その子犬のような彼はすぐに駆け寄ってきた。「姉さん、何かご用?」
「松本長女様をお招きして、お茶でもどう?と伝えて」
「松本家の……」
賀川野は実行力が強く、すぐに彼女を連れてきた。元々面識がないため、対面は少し気まずく、ぎこちなかった。
「緊張しないで」江口晗奈は微笑んで言った。「今夜はここに座ってください」
「これは……」