390 腰を抱いて、心臓の鼓動が乱れる(2更)

「盛山若社長、降りる時間です。」

山下助手が声をかけた。

盛山庭川は眉をひそめた。幻覚を見ているのだろうか?

なぜ彼女が見えるのだろう?

山下助手は先に自分の若社長を家まで送り、その後お土産を取りに戻った。荷物があまりにも多く、何度も試したが一度では運べない。車内に座っていた松本さんが声をかけた。「お手伝いしましょうか?」

「ありがとうございます。」

山下助手を責めることはできない。荷物が本当に多く、この寒い中、何度も往復したくはなかった。

彼女は思いもしなかった。いつか盛山若社長のマンションに入ることになるとは。

彼らの生活には何の接点もなく、

まったく無関係な関係だった。

ここは、冷たく寂しげで、生活感がない。

「松本さん、どうぞお座りください。私はちょっと出かけてきます。」普段自分の上司はほとんどお酒を飲まないため、家には二日酔い茶も二日酔い薬もないと思い、薬局に行く必要があった。

もし明日二日酔いで機嫌が悪くなったら、困るのは自分だ。

どうせ自分の上司は寝室で寝ているし、この松本さんは礼儀正しそうな人だから、きっと寝室に入って彼にセクハラすることはないだろう。

絶対に問題は起きないはず。

山下助手が去った後、彼女は部屋を見回した。室内は薄暗く、一面の壁には様々な形の宝石の原石が並べられていた。

宝石を磨くような道具もいくつかあった。

バルコニー近くには、白い花瓶にブーゲンビリアが生けられ、意外にも多くの鳥かごがあり、壁には鳥の写真や釣り道具なども……

盛山庭川は野鳥撮影?

鳥を飼っている?

釣りも?

これって全部お年寄りの趣味じゃない?

犬や猫を飼っている人は見たことがあるけど、こんなに鳥を飼っている人は初めて見た。

意外だわ、盛山若社長がこんなに古風な趣味を持っているなんて。

壁際に、鳥の標本?

とてもリアルで、生きているみたい。

種類は分からないけど、その中の二羽のオウムが特に綺麗で、青と白の顔に赤い頬、マカロンのような色合いで、とても可愛らしかった。

彼女は携帯を取り出し、近づいて写真を撮ろうとした。

その時、盛山庭川は頭が痛くて仕方がなかった。

彼の酒量は悪くないのだが、賀川洵が今夜様々な種類のお酒を注文し、それらが混ざると酔いやすくなる。

賀川洵は本当に最低だ、