394 婚約パーティー、この芝居は面白い(2更)

しかし、その女性は運転手の男性に指示を出し、観葉植物を適切な位置に配置させただけだった。彼女は水耕栽培のヒマワリなどの植物も贈り、室内を飾り付けると、部屋全体が一瞬で明るくなった。

「湯川さん、これは植物のお手入れの注意事項です。これに従って水やりと肥料をお願いします。何か問題がありましたら、こちらの電話番号にご連絡ください」

彼女はそう言いながら、あらかじめ印刷しておいた紙と名刺を湯川俊夫に渡した。

「私のことを知っているのか?」湯川俊夫は眉を上げた。

「賀川さんと盛山さんの結婚式に私も参列していました。お忙しい方なので、私のことは覚えていらっしゃらないかもしれません」彼女は落ち着いた態度で、何も関係を持とうとする様子はなかった。

湯川俊夫は名刺を見た。

松本姓だった。

そこで彼は思い出した。この女性は自分の姪のブーケを受け取った女性だった。

キッチンにいた盛山文音は物音を聞いて出てきて、彼女を見て驚いた様子だった。「松本さん、どうしてここに?」

「観葉植物の配達です」

「お店もされているんですね?連絡先を交換しましょう。今後お花を注文する時はお店を利用させていただきます」

「ご用命がありましたらどうぞ。特別に気を遣っていただく必要はありません。最大限の割引はお約束します」彼女はそう言いながら、スマートフォンを取り出して盛山文音とWeChatを交換した。

「お名前は松本...」

「松本雨音です」

「一緒に食事していきませんか?今日は叔父の新居祝いで、大勢で賑やかですよ」

「私は...」彼女の言葉が途切れた時、携帯が振動し、盛山文音に申し訳なさそうな笑みを向けて、少し離れた場所で電話に出た。「はい、お父さん」

「明日は婚約式なのに、また花屋に出かけているのか?婚約後はすぐに店を閉めなさい。大した稼ぎにもならないし、金子家も好ましく思っていない。それより金子隼人のことにもっと気を使うべきだ」

「彼の心は私にないのに」

「男は結婚すれば落ち着くものだ。子供でも産めば、金子家若奥様の座も安泰だ!」

彼女は小さく返事をした。

結婚して落ち着く?

では、あの妹はどこから来たというの?自分が結婚してから不倫をしておいて、よく結婚して落ち着くなどと言えたものだ。

「とにかく、早く戻って婚約パーティーの準備をしなさい」