盛山文音は横目で兄を見やった。
本当に困ったものだ!
実は、この婚約パーティーに兄を誘う必要はなかったのだが、母が彼女と話し合い、賀川家の行事があれば兄を誘うようにと頼まれていたのだ。
盛山庭川はデザイン専攻出身で、会社の運営管理の他にもデザインを手掛けているため、ほとんどの時間を仕事に費やしていた。湯川千秋は彼に社交の機会を増やし、多くの人と知り合って、良い縁に恵まれることを願っていた。
そのため、彼が婚約パーティーに参加すると聞いた湯川千秋は、特別に服装を選んでコーディネートしてあげた。
「母さん...少し派手すぎるよ」盛山庭川は苦笑いを浮かべた。
知らない人が見たら、まるで婚約パーティーの主役が自分であるかのようだ。
「派手かしら?」湯川千秋は服を見直し、飾りの翡翠の竹の葉のブローチを外した。「これならいいでしょう?」