392 泥棒のように、面白いことになりそうだ(2更)

盛山庭川はデザイナーで、記憶力が良く、トイレの外で覗いている人が誰なのかすぐに分かった……

このドレスショップは客が少なく、トイレのほとんどは空いていた。

彼がゆっくりと近づいていくと、廊下は絨毯が敷かれていたため足音はほとんど聞こえなかった。すぐに男子トイレから女性の甘い声が聞こえてきた。

「ここではダメ、誰かに見られちゃう」

「誰も来ないよ」

「でも……」

「ここってスリル満点じゃない?」

「あなたって、ひどい——」女性の声は震え、息遣いも荒くなっていた。「お姉さまが個室で待ってるのに」

「待たせておけばいい」

「誰か来たらどうしよう」

「大丈夫、ここは高級ドレスショップだから、店員も空気を読むよ。この前、試着室で……誰も邪魔しに来なかっただろう?」男の呼吸が荒くなった。「それに、今日はそんな格好で、お姉さんの前で俺を誘惑するなんて、スリルを求めてたんじゃないの?」