396 見世物(2)渣男と悪女を平手打ち、まだ後手がある

壁一面の巨大なスクリーンは、視覚的なインパクトが想像以上だった。

会場の人々は息を飲み、賀川野は目を疑った。

なんてこった。

こんなものを無料で見られるとは。

いや、これは共有しないと。

賀川野は手に持っていた携帯で、すぐに録画を始めた。

盛山文音はお茶を飲んでいたが、この光景に手が震え、ドレスにお茶をこぼしてしまった。シミができて、拭いても取れない。

「着替えますか?」盛山庭川が気づいて、小声で尋ねた。

「今はいいわ」

盛山文音は目の前の出来事に夢中で、服のことなど気にしている場合ではなかった。

「あれは金子若様と松本次女様ですよね?」会場は既に騒然となっていた。

「マジかよ、トイレで、そんなに欲求不満だったのか?」

「ホテルで見つかったのは偶然だって言ってたじゃないか?」