404 盛山若社長は権力を笠に着て、傲慢(3)

宴会場

婚約パーティーはもう終わりに近づき、この時残っているのは金子、松本両家の親族と親友たちだけだった。

母が隣にいたため、松本咲良は携帯を確認する機会がなかった。羽沢彩乃は彼女に早めに帰るよう促した。「婚約パーティーはもうすぐ終わるわ。私はお父さんを待つから、先に帰っていいわよ」

「急いでないわ」松本咲良はまだ面白い展開を待っていた。

羽沢彩乃は理解できなかった。ここに残っても意味がないのに。そこへ夫の松本和彦から電話がかかってきた。「咲良はどこだ?」

「私の横にいるわ」

「すぐに宴会場に連れてきてくれ。盛山若社長が来て、彼女に会いたいと言っている」

「どうして?」

「知るわけないだろう。とにかく咲良に会いたいと指名されたんだ。連れてくればいい」松本和彦は急かした。

松本咲良は不思議に思ったが、盛山庭川を怒らせるわけにもいかず、服装を整え、怪我した耳を隠すために帽子をかぶって、ゆっくりと宴会場へ向かった。

この時、会場には半数ほどの客しか残っていなかった。

盛山庭川は表情が冷ややかで、金子、松本両家の人々は端で笑顔を浮かべながら立っていた。

なぜこの方が戻ってきたのか、誰にもわからなかった。

「盛山若社長」松本咲良は笑顔で近づいた。「お呼びとか」

盛山庭川は上着を脱ぎ、彼女に近寄るよう合図した。

周りの人々は不思議そうだった。

松本咲良は心の中で不安が募った。何か良くないことが起こりそうな予感がした。彼女がさらに近づいた時、盛山庭川は既に袖をまくり上げていた。彼女が口角から微笑みを浮かべ、「盛山若社長」と言い終わる前に……

盛山庭川が手を振り上げ、

一発の平手打ちが彼女の顔に炸裂した。

予告もなく、彼女は体がよろめき、地面に倒れ込んだ。帽子が吹き飛び、つい先ほど手当てした耳からまた血が滲み始めた。

全員が息を呑んだ。羽沢彩乃が真っ先に駆け寄った。「盛山若社長、これはどういうことですか?なぜ私の娘を叩くんですか」

「盛山家がどんなに権力があるとしても、こんな虐めは許されません!」

「警察に通報しますよ」

盛山庭川は口角を軽く上げたが、表情は冷たいままだった。「私は既に警察に通報しました。それに……」

「私は権力を笠に着て人を虐めています。それがどうした?」

私に何ができるというのか?