403 目の前が真っ暗に、誘拐を間違えた(2)

そのとき、ホテルの監視カメラは既に盛山文音の居場所を突き止めていた。

賀川礼は彼女が誰かに支えられてエレベーターに入るのを見たとき、周囲の温度が一気に冷え込んだ。ホテルのマネージャーは傍らで、当ホテルのセキュリティは万全で、賀川さんは絶対に何も起こりませんと説明していたが、監視カメラの映像を見て、全身が冷や汗で覆われた。

部屋に向かいながら、客室部のマネージャーにマスターキーを持って来るよう電話をかけた。

盛山庭川もこの時、客室に向かっており、松本雨音が後を追っていた。

何事もなかったはずなのに、

どうしてこんなことに?

二人が到着したとき、少し離れた場所から、賀川礼が既にドアの前にいるのが見えた。

彼はノックもせずに、直接足を上げた——

全力を込めて!

たった一発で、

ドアを激しく蹴り開けた。

鍵が壊れ、ドアは後ろの壁に激しく当たって大きな音を立て、部屋の中の男を肝が冷える思いにさせた。彼は先ほどズボンを脱いだばかりで、ベッドの上の人を見るにつれ、何かがおかしいと感じていた。

彼は携帯を確認した。

金子家と松本家の件は大騒ぎになっており、ネット上には多くの写真や動画があったが、ほとんどが松本咲良と金子隼人の見るに堪えない小さな動画で、多くの顔にモザイクがかけられていた。

やっとの思いで松本雨音に関するものを見つけた。

比べてみると、

魂が抜けそうになるほど驚いた!

しまった、

人違いだ!

松本咲良は頭がおかしいんじゃないのか、これは明らかに彼女の姉じゃない。

ここで遊べる人は金持ちか身分の高い人に違いない。男は事態が悪化したと思い、急いで盛山文音から脱がした上着を彼女の上にかけた。「申し訳ありません、人違いでした。」

この言葉を聞いて、盛山文音はようやく安堵のため息をついた。

少なくとも、何もされずに済む。

人違い?

じゃあ、本来誰を拘束するつもりだったんだ!

「これは普通の睡眠薬です。効果はすぐに切れます。警察には通報しないでください。」男はそう言いながら、ズボンを履いて立ち去ろうとした。

しかし——

「バン!」という大きな音に、彼は全身を震わせた。

指が震え、やっと上げかけたズボンが落ちそうになった。

彼は心の中で「まずい」と思い、ズボンを上げて逃げようとした。