418 また面白い芝居が始まる、慈悲も救えぬ自滅の人(2)

もうすぐ新年で、多くの人が休暇に入っていた。みんな暇を持て余していたが、松本和彦が娘を田中社長に嫁がせようとしていることを知っている人は少なく、不名誉なことなので、松本家が広めるはずもなかった。

しかし秋月策人がどこからか情報を得て、それを広めたため、帝都の半分がこの話を知ることとなった。

人々は嘆き悲しみ、松本雨音が可哀想だと感じていた。

そしてこの話は、当然金子家にも伝わった。

金子隼人は松本雨音を取り戻したいと思っており、松本咲良に中絶を勧めたこともあった。

もし妊娠していなければ、彼女は今頃拘留されていたはずだ。妊娠は彼女の身を守る盾であり、松本咲良は絶対に子供を下ろすつもりはなかった。

両家はこのことで険悪な関係になっていたが、この問題が解決していないうちに、松本雨音がお見合いすることになり、金子隼人は怒り心頭だった。

「金子さん、もしかして、姉さんは自分の意思でお見合いに行くのかもしれませんよ?」松本咲良は笑いながら言った。

「馬鹿を言うな。あんな年寄りと結婚して、何の得があるんだ!」

「さあね、もしかしたら特別な趣味があって、年上が好みなのかも。」

「ふざけるな!」

金子隼人は歯ぎしりしながら、松本咲良に警告した。「早く子供を下ろした方がいい。俺は認知しないぞ!」

松本咲良は黙っていた。彼が去った後、羽沢彩乃が病室に入ってきた。母親を見て、彼女も悔しそうに言った。「お母さん、どうしましょう?金子隼人はこの子を認めたくないみたいで、まだあの松本雨音という女のことを想っているみたいです。」

「あの小娘のせいで私はこんなにひどい目に遭わされた。あの子を許すわけにはいきません。」

「あの子がいなければ、私がこんな目に遭うことはなかったのに。」

評判は地に落ち、以前の「友人」たちは全員彼女をブロックした。

今の彼女は、下水道のネズミのような生活を送っていた。

臭くて、誰もが避けて通る存在だった。

「安心なさい。あなたが受けた苦しみの分、あの小娘に倍返しにしてやるわ。」羽沢彩乃は娘の髪を撫でながら言った。「あの子の母親は役立たずだったけど、まさか手ごわい娘を産むとは思わなかったわ。」

「私は彼女の母親を松本家から追い出せたんだから、あの子も同じように臭い名前にしてやれるわ。」