418 また面白い芝居が始まる、慈悲も救えぬ自滅の人(2)

もうすぐ新年で、多くの人が休暇に入っていた。みんな暇を持て余していたが、松本和彦が娘を田中社長に嫁がせようとしていることを知っている人は少なく、不名誉なことなので、松本家が広めるはずもなかった。

しかし秋月策人がどこからか情報を得て、それを広めたため、帝都の半分がこの話を知ることとなった。

人々は嘆き悲しみ、松本雨音が可哀想だと感じていた。

そしてこの話は、当然金子家にも伝わった。

金子隼人は松本雨音を取り戻したいと思っており、松本咲良に中絶を勧めたこともあった。

もし妊娠していなければ、彼女は今頃拘留されていたはずだ。妊娠は彼女の身を守る盾であり、松本咲良は絶対に子供を下ろすつもりはなかった。

両家はこのことで険悪な関係になっていたが、この問題が解決していないうちに、松本雨音がお見合いすることになり、金子隼人は怒り心頭だった。