419 自業自得、彼女を死に追いやる

盛世忘年会現場

盛山誠章が壇上で挨拶し、全従業員の一年間の献身的な支援に感謝を述べ、今夜数億円の年末ボーナスを出して皆を励ますと言うと、会場は歓喜に沸いた。

湯川千秋は周りを見回しながら、息子に近づいて声を潜めて言った。「おじさんは見かけた?」

「いいえ」

「電話してみて。忘年会が始まってるのに、まだ来てないなんて、何か起きたんじゃないかしら」湯川俊夫は一人暮らしで、年も若くないため、湯川千秋は心配になった。

盛山庭川は頷き、外に出ておじに電話をかけると、渋滞で、もうすぐホテルに着くとのことだった。

そのとき、数人のホテルスタッフが料理を運びながら彼の傍を通り過ぎた。

「見た?松本長女様のお見合い相手、なんでおじさんなの?」

「お金持ちなんでしょ」

「お金持ちの家では、年の差婚って多いものよ」

……

盛山庭川が数言聞いたところで、山下助手が来て、スピーチの時間だと告げた。

「あちらを監視するように」盛山庭川は言った。

山下助手は知らんふりをして、「どちらをですか?何のことですか、よく分かりません」

盛山庭川が一瞥を投げかけると、彼は照れ笑いをして、「はい、すぐに松本さんの様子を見張らせます」

**

個室にて

松本和彦と田中社長は杯を交わし、かなり飲んでいた。松本雨音と羽沢彩乃も免れず、付き合いで数杯飲んでいた。

「……私も年なので、松本さんがよろしければ、年明けにでも結婚したいと思います」田中社長が松本雨音を気に入っているのは明らかだった。

若くて美しく、品があり、話し方も優しい。

そして何より:

扱いやすそうだ!

家族の決めた見合いに応じる女性なら、きっと性格も柔らかく、将来自分の子供を虐待することもないだろう。

松本雨音は黙ったまま、恥ずかしそうに父親を見た。松本和彦は笑い出し、「ほら見てください、まだ子供なもので、結婚の話をすると恥ずかしがって。で、田中社長はいつ頃お考えですか?」

「ゴールデンウィーク前後で」

「問題ありません」

「ただ松本さんもご存知の通り、私には三人の子供がいます。上は高校生で、下はまだ幼稚園です。ですので結婚後は、家庭に重点を置いていただきたいのですが、それは大丈夫でしょうか」

松本雨音は眉をひそめた。

末っ子がまだ幼稚園とは、この田中社長もただ者ではない。