湯川俊夫は性格が冷たく傲慢で、人の世話をするのは得意ではなく、雰囲気を和らげることもできないため、食事中の雰囲気は冷たくなりがちで、外からは時折、爆竹の音が聞こえてきた。
しかし、彼の海外での経験について話すと、湯川俊夫は饒舌になった。
彼は趣味が広く、乗馬にも夢中になったことがあった。
「乗馬大会で優勝されたなんて、すごいですね」松本雨音は心から褒め、湯川俊夫はそれを喜んでいるようだった。
「私は乗馬クラブに何頭か馬を飼っているんだ。時間があれば、乗りに連れて行ってあげよう」
松本雨音はただ微笑むだけだった。
湯川俊夫が飼っている馬は、本来、正月に盛山文音を乗せるために用意していたものだった。
やっと彼女の足の怪我が治ったと思ったら、今度は妊娠してしまい、しばらくは馬に近づくことはできないだろう。