金子奥様はその話を聞いて、疑わしげに松本雨音を見つめた。
今夜の一件は大きすぎる。
必ず真相を究明しなければならない。
このような動画で脅迫するなんて、松本咲良は自分の全てを賭けたようなもの、犠牲が大きすぎる。
この件は、何か変だ。
十数分後、誰かがVIPルームのドアをノックした。来たのはドレスショップの店長で、松本咲良は内心得意げだったが、松本雨音の心は密かに締め付けられた。
「監視カメラの映像は持ってきましたか?」金子隼人は焦りながら尋ねた。
「はい、持ってきました」
店長はそう言って、USBメモリを金子隼人に渡した。
彼はすぐにパソコンを用意させ、松本雨音がドレスを試着した映像だけをコピーしたので、探すのは非常に簡単だった。
松本咲良は内心得意げに、松本雨音に近づいて、小声で言った。「お姉さん...」
「今夜のことは、ゆっくり清算させてもらうわ!」
「この程度の時間だけ得意になっていればいい。真相が明らかになれば、父と金子家はあなたを許さないわ」
「父に頼んで、あなたを老人に嫁がせてやるわ」
「私を潰そうとするの?」
「なら私もあなたを潰してやる!」
松本雨音は内心緊張して、何も言わなかった。
映像の角度の問題で、すぐに盛山文音と江口晗奈の姿が映り、続いて松本咲良と金子隼人が前後してトイレに入る様子が映った。この瞬間、松本雨音の心は固まった。
終わった、
本当に撮られていた!
まさか今夜、全てが水の泡になるのか?しかし、次の瞬間...
画面は突然ノイズだらけになり、真っ白になった。
「こ、これはどういうこと!」松本咲良は画面を凝視し、店長を見た。「監視カメラの映像は?」
店長は少し戸惑ったような様子で、「あなたが消すように言ったじゃないですか?」
松本雨音も呆然とした。
松本咲良はさらに完全に呆気にとられた。「何を言い出すの!」
「金子若様とトイレの中でのことを誰かに見られたくないと言って、消すように頼まれましたよ。うちのお店のお客様は皆、裕福な方々ばかりですから、お客様のご要望には必ずお応えしています」
「あなた...」
松本咲良は完全に狂ったように、駆け寄って店長の服を掴んだ。
「松本雨音があなたを買収したんでしょう?一体いくら渡したの!」