盛山庭川が公の場で告白したことで、多くの芸能記者が動き出し、すぐに松本雨音の花屋を見つけた。しかし、彼らは軽率に邪魔することを恐れ、夕暮れまで待機していたところ、盛山庭川が現れるのを目撃した。
10分後、
【盛山若社長と松本さんが手を繋いで夕食へ】という写真が帝都圏中に広まった。
盛山文音はちょうど香を作っているところで、秋月策人は賀川家で夕食を食べていた。彼は全速力で香房まで走り、靴から火花が散りそうなほどだった。
「お義姉さん、大変なことが起きました!」
賀川礼は眉をひそめ、一瞥を送ると、彼はすぐに黙り込んだ。
「何があったの?」盛山文音は頭を下げたまま香作りを続けた。
「あなたのお兄さんと松本さんは絶対に付き合っています。」
「どうしてわかるの?」
「記者が二人が手を繋いでいるところを撮影しました。」秋月策人はすぐに盛山文音の前に寄り、携帯に保存された写真を見せた。「盛山若社長の進展が早いとは思いませんでした。昨日告白して、今日もう成功したなんて。」
「他人の恋愛に何を興奮してるんだ?」賀川礼は低く笑った。
「真実の愛を見つけた人々を祝福したいだけです。」
「誰が独身の祝福なんか欲しがるものか?」
「私は...」
秋月策人は言葉に詰まった。
賀川礼は腕時計を見て、「もう遅いから、帰るべきだな。」
秋月策人は突然蛇のように動き、賀川礼の側に寄り、特に媚びるような笑顔を浮かべた。「賀川さん、相談があるんですが。」
「相談の余地なし、承諾しない、同意しない。」
秋月策人は天が崩れ落ちたような表情を見せ、盛山文音を笑わせた。「賀川さん、数日間泊めてください。」
「家族と喧嘩でもしたの?」盛山文音が尋ねた。
「喧嘩はしていません。ただ、昨日夕食後に帰宅したら、祖父が盛山若社長には追いかける相手がいるのに、私には何もないと言って、役立たずだと言われました。私は感情的になって、彼女を連れて帰らないと家に帰らないと言い張ってしまったんです。」
盛山文音は笑い出した。「じゃあ、目当ての人はいるの?」
「いません。」
「じゃあ、なぜ強情を張ったの。」
「でも、アプローチしたい相手はいます。」
「どこの娘?」
「男性です。」
「...」