502 福来と茶乃(1)

福来ちゃんは生まれた時から特別な存在として溺愛されていた。

賀川家が待ち望んでいた可愛らしい赤ちゃんはもちろんのこと、盛山家の者たちも彼女を大切にし、盛山文音がまだ産褥期にいる時から、母親は大量の宝石を贈ってきた。

賀川礼は彼女のためにプリンセスルームを用意し、さらにウォークインクローゼットやジュエリールームまで設けた。自分の小さなプリンセスから目を離さず、どこもかしこも可愛いと思い、時間があれば、ミルクを作ったりおむつを替えたりする仕事は全て自分でやっていた。

おそらく以前ダンスをしていたせいか、自然分娩だったこともあり、盛山文音の体の回復は早かった。

専門の産後ヘルパーもいたので、子育ての仕事は基本的に彼女の出番がなかった。

彼女は食事と睡眠をしっかりとり、赤ちゃんと遊ぶだけでよかった。