二人は素早くステージに上がった。
木村雨音が歌い始め、田中航が合唱した。
すべてが見事に調和していた。
コメント欄には親指を立てるアイコンが溢れていた。
「雨粒ちゃんはすごいわね。今回の作詞作曲も彼女が手掛けたって聞いたわ!」
「歌もできて作曲もできる稀有な才能ね!」
「前の曲も何度もリピートして聴いてたわ!」
「今回は間違いない!ローズちゃんの座を狙えるだけの実力があるわ!」
「ローズちゃんは今回、小林凌とコラボしてて人気爆発中だから、雨粒ちゃんがその座を狙うのはまだ少し距離があるんじゃない?」
みんなが熱心に議論している最中、木村雨音の転調で少し問題が起きた。
観客たちはプロではないが、耳は決して嘘をつかない。
彼女たちはプロではないが、それは自分の判断力がないということではない。