第42章 全体崩壊

二人は素早くステージに上がった。

木村雨音が歌い始め、田中航が合唱した。

すべてが見事に調和していた。

コメント欄には親指を立てるアイコンが溢れていた。

「雨粒ちゃんはすごいわね。今回の作詞作曲も彼女が手掛けたって聞いたわ!」

「歌もできて作曲もできる稀有な才能ね!」

「前の曲も何度もリピートして聴いてたわ!」

「今回は間違いない!ローズちゃんの座を狙えるだけの実力があるわ!」

「ローズちゃんは今回、小林凌とコラボしてて人気爆発中だから、雨粒ちゃんがその座を狙うのはまだ少し距離があるんじゃない?」

みんなが熱心に議論している最中、木村雨音の転調で少し問題が起きた。

観客たちはプロではないが、耳は決して嘘をつかない。

彼女たちはプロではないが、それは自分の判断力がないということではない。