第40章 偽物の藤原修なのか？

医師は言った。「藤原お嬢様、冗談を言わないでください。藤原様の病気は毒物によるものではなく、賞味期限切れの食べ物を食べたことによる重度の胃痙攣で、胃出血とショックを引き起こしたのです。」

「賞味期限切れの食べ物？」藤原千華は歯を食いしばった。大島執事の命はないわね！

「藤原様は賞味期限切れのジュースを飲まれましたか？」医師は尋ねた。

以前、藤原修が目覚めていなかった時、医師は胃の中身から病状を判断するしかなく、確認することができなかった。

今がちょうど確認するいい機会だった。

藤原修は頷いた。「ああ」

藤原千華は怒り心頭だった。「藤原修、賞味期限切れだと分かっていて飲んだの？」

彼女は今、藤原修の知能を深く疑っていた！

いや、彼のIQテストの結果は240だったはず！

天才中の天才なのに！

医師も不思議に思いながら注意した。「藤原様、もともと胃の調子が悪いのですから、これ以上このようなことはなさらないでください。」

「残りは少なかった。数口分だけだ」藤原修は気にも留めずに言った。

「数口分？藤原修、まだ飲むつもりなの？先生、弟の頭を検査してもらえませんか？」藤原千華は驚愕した。

医師も奇妙な目つきで藤原修を見つめた。彼の知る藤原様はS国最大の企業を支配し、若くして世界最高の富豪となり、常に決断力があり、その決定は他の誰も及ばないものだった。

目の前にいるのは、偽物の藤原修なのではないだろうか？

時枝秋が最初に気づき、真剣な眼差しで藤原修を見上げた。「残りの分は飲まないで。飲みたいなら、新しく絞ってあげる。」

「園田秘書、大島執事に冷蔵庫の賞味期限切れのジュースを捨てるように伝えてください」藤原修はようやく口を開いた。

藤原千華は口を大きく開けた。なんと、自分を病気にしてまで飲もうとしていたジュースは、時枝秋が絞ってくれたものだったの？

たったそれだけ？

たったそれだけ？

時枝秋は前回彼にジュースを渡したのが数日前のことを思い出した。その時は深く考えず、自分で絞りすぎて飲みきれなかったジュースを、何気なく藤原修に渡したのだった。

彼が少しずつ飲もうとしていたなんて思いもしなかった。

ジュースなんて、すぐに腐るものなのに。