第32章 目障りだ

以前、時枝秋は藤原修から離れる第一歩として、まず彼が用意した会社——セガエンターテインメントから離れなければならなかった。

木村雨音は小林凌の従妹で、芸能界のことを時枝秋より詳しく知っていたため、時枝秋は安心して新しい所属事務所を探す仕事を木村雨音に任せた。

木村雨音はこの件をしっかりと覚えており、ようやく新しい会社を見つけた。

相手は彼女が提供した時枝秋の写真を見た後、すぐに会って話を進めることに同意した。

会社に着くと、受付は彼女たちを応接室に案内した。

木村雨音は時枝秋と一緒に座り、小声で説明した:「こちらで新しい会社が決まれば、あなたはセガエンターテインメントとの関係を早めに切ることができます。」

そうすれば、早く藤原修から離れることができる。

時枝秋は頷いて笑った:「はい。」

前世では、彼女は木村雨音の言葉を信じ、ゴールデンエンタメという会社と契約を結び、木村裕貴に契約解除の合意書を求めた。

この会社も小さくなく、初期には確かに多くのリソースを提供してくれたが、実際には相手が目をつけたのは彼女の美貌だけだった。

岡元経理があまりにも簡単に彼女と契約を結んだのは、彼の愛人グループに加えたかっただけだった。

この点について、時枝秋は顔の傷跡に感謝せざるを得なかった。

当時、経理は彼女を酔わせてベッドに放り込み、マスクを引き裂いて、マスクの下の傷跡を見た後、怒って罵りながらドアを閉めて出て行った。

それは時枝秋が初めてこの傷跡によって利益を得た時だったが、その後すぐに会社からの無限の抑圧と干されることになった。

「時枝秋、怖がらないで。私はずっとあなたの味方で、藤原修から逃れるのを手伝います!」木村雨音は彼女が黙っているのを見て、小声で慰めた。

時枝秋は立ち上がって言った:「お水を足してきます。」

ここは応接室と言っても、実は特別な内装効果が施されていた。

中から外を見ると、すべて壁で覆われている。

しかし、一面の壁は外から中を見ることができるようになっている——経理が人選をしやすいように。

容姿や体型に優れた点がある人だけが、多くの美女を見慣れた岡元経理の目に留まることができた。

時枝秋はマスクをしていたが、星のように輝く目と、すらりとした体型は、芸能界にとっても岡元経理個人にとっても、上質な玉石のような存在だった。