しかし、時枝秋が目薬を差そうとすると、彼は何も聞かずに、頭を後ろに傾け、時枝秋の動作に任せた。
虚ろな瞳を見つめていると、時枝秋の心が痛んだ。
でも大丈夫よ、お爺さん……もうすぐ、もうすぐだから。
彼女は目薬を置いて、看護師に時枝お爺さんに定期的に差すように指示し、他の目薬は必要ないと伝えた。
看護師はすぐに承諾した。どうせ普段から医師も時枝お爺さんに目薬を処方していなかったし、これを差すくらいなら問題ないだろう。
時枝秋が出てくると、浜家秀実母娘はまだ帰っていなかった。
時枝雪穂は心配そうに尋ねた。「秋、小林お兄さんの番組に出てるけど、もうすぐ終わるんでしょう?」
彼女は、今回の脱落戦が厳しくて、時枝秋はあと数日しか残れないと聞いていた。
時枝秋は冷ややかに彼女を一瞥した。